
『どんぐりファイターズ』誕生秘話、っていうか足跡
ACT5 どんぐりが、というよりじょーが主役
過去を振り返ることは、老人に許された甘美な特権だ。
なんて「らしくない」始まり方をしたが、大丈夫、ボケもある。
当時、どんぐりのオーディエンスは純然たる「知り合い」たちであった。友人
なら3回に1回くらいは来場するだろう。しかし「知り合い」である。そんな微
妙な立場の人に、3割以上の来場は期待できない。3割というのは、非常に高い
確率なのだ。そーじゃなかったら、清原は後援会の宴会を辞退したりしない。
お、時事ネタ。でも、ジャイアンツ嫌いだから、どーでもいいや。
ということで、ぐんぐん観客は減っていったのである。
じょーは、ずいぶん昔からじょーである。流浪、ということにかけては「タモ
リ倶楽部」を凌ぐぐらいの手腕の持ち主だ。なんなら、剣心以上の流浪野郎だと
言ってもいい。
そんなじょーだが、さすが世の中は厳しくできている、やはりお仕事をしなけ
れば生きていけない。あのお腹は非常食の備蓄プラントではないらしい。不思議
ね。
遠い知り合いのツテで、じょーは某PC関係の権利団体のお仕事をしていた時
期があった。主にネット上での不法なソフトの売買をチェックするのがお仕事だ
ったらしい。
つらつらとネットをさまよう、じょー。そこでニフティという禁断の園にぶち
当たる。
このHPはニフティ関係の人々が多いとはいえ、多少説明をしておくのが親切
というものだろう。ニフティとは、パソコン通信(今となっては懐かしい響き)
時代に、日本ではほぼ唯一無二の会社であった。要は、国内にたったひとつしか
ないプロバイダだと思っていただければ、ほぼ60点。追試はまぬがれる。今のイ
ンターネットは、それの全世界的拡大版だといえるだろう。
ニフティには、「フォーラム」といわれる「同好の士が集まる小部屋みたいな
モノ」がある。会社側から提供されたそこで、ある人々は酒について語り合い、
ある人々はレアなアイドルちゃんの情報をバーターしあい、そしてまたあるとき
は片目の運転手。
で、じょーが見つけちゃったのは、音楽のフォーラムであった。
しかも、メンバー同士でセッションが出来る、そんなフォーラムであったの
だ。
じょーは燃えた。宇能鴻一郎先生風に言うならば「ジュンってきちゃった・・・・・・」だ。
どんぐりという本妻がいるからこそ、燃えたのだ。
バンドはバンドとして、他所で好きな曲を好き勝手に叩ける。これは魅力だ。嫁にするにはちょっとパーだが、一晩だけなら美人に限る。そんな心理だ。
下心とか欲求とかいう言葉に、男は行動力でリアクションする。今のじょーの
姿を知っている人には信じられないだろうが、彼は可及的速やかにPCを購入。
返す刀でID取得。アーンド、ネットでもメーリングリストのMZW(東伏見店
参照のこと。まさか、活字中毒とここしか読んでないワケないよねえ)に加入。
半月ごとに携帯電話を止められているヤツとは思えない。
素晴らしい。なんてスピーディー。ボクはチャーりーよりライナスがいいな
あ。それはスヌーピー(正確には「ピーナッツ」ね。ボケに注釈入れてどーす
る。新境地か?)。
96年、年末のことだった。
しばらくは、地味にいくつかのセッションに参加していたじょー。しかし、生来の
お調子者の血は抑えがたく、翌年の10月にはニフティ【ZEP3】のセッション
に参戦。さらに調子に乗って手にアザを作りながら「モビーディック」のドラム
ソロを熱演(自称)した。そして、それが好評を博した、らしいのだ。
学生でバンドをやってるヤツは圧倒的にロクデナシが多いけど、社会人になっ
てまで音楽をやってる人には妙に律儀な人が多い。翌月のどんぐりライブには、
なんと30人からのオーディエンスが詰め寄せた(ってほどでもねーか。しかし、
相対的にはそんな感じ)。
それまで、じょーのPCという課外活動には「パソコン通信?」と、片眉をく
いっと上げる程度の関心しか示さなかった両メンバーだったが、この人数を見て
「へー」「ふーん」とまで大きくリアクションするようになった。外の世界では
「うっわー、すっげーよー、じょー!!!」と意訳されるような反応だ。ここら
へんは、1度でもどんぐりライブの打ち上げに参加したことのある人ならよく分
かるハズだが。
ライブが終わり、はじめての観戦ということもあって、みなさんは律儀にメー
ルで感想を送ってきてくれた。それらはおおむね好評で、しかも「すごい!」
「モノになるバンドだ」なんていう甘い言葉の雨霰。リップサービスに違いない
のだが(ブロウジョブではない)、それでも悪い気はしない。どころか、限りな
く感無量に近い心地であったのだ。
ニフティメンバーの人の良さにつけこんで、どんぐりはコンスタントに集客を
するようになる。平日でも10人以上が集まる、ミニマムにすごいバンドへと変貌
していったのだ。うぷぷぷぷ。
がしかし、ぼちぼちと気になる声も聞こえてくるようになった。それは「デモ
テープのようなモノはないんですか?」「せっかくイイ曲なのに、いつまでたっ
ても曲が覚えられません」「旅館としていまひとつセールスポイントが見つかり
ません」という、音源を求める(一部、温泉を求める)声であった。
こうして、どんぐりたちの心に「アルバム?」という、ちょっと半疑問形な決
意が芽生えることになる。
(Text by Roy)
ACT6へ続く
「どんぐりファイターズセカンドアルバムへの道」へ
JOE
MOTO'S DRUM WORKSHOPへ